【症例】他院にて3本抜歯と診断された歯を2本根管治療によって保存し、1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者|渋谷マロン歯科Tokyo

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2025.04.12

【症例】他院にて抜歯と診断された3本の歯を2本保存、1本をインプラント治療

治療概要

治療内容 根管治療、インプラント治療
期間 3か月半
治療回数 5回
費用 1,094,500円(税込)

治療前の状態・主訴

患者様は20代女性で、現在他院にて矯正治療中の方です。約二年半前に治療した右上567三本の歯を抜歯し、インプラント治療を行う必要があると伝えられたため、不安になり当院を受診されました。

当院で、パノラマX線写真、デンタルX線写真、CT画像を撮像し根管治療科・保存科の専門医に相談しました。

以下の放射線画像から、右上7の歯は未処置根管の存在が疑われ、治癒する可能性があること、一方で右上6の歯については8mm近いポケットが頬側分岐部(奥歯の根が頬側に分かれている部分)に存在し、穿孔や歯根破折も疑われることから、予知性(予後が良い可能性)はあまり高くないことを説明しました。

患者様と相談の上、右上7は非外科的根管治療、右上6は抜歯、右上5は補綴物(失われた歯や欠けた部分を人工的な材料で補う治療法)のみの介入の方針となりました。

 

パノラマX線画像|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

治療前パノラマX線写真および右上大臼歯(奥歯)部のデンタルX線写真がこちらになります。

右上7根尖部(歯の根の先端周囲の組織)および6の根尖部、分岐部にかけて透過像が確認できます。

右上7の近心頬側(正中に近い頬側)根管は根管充填が不良、67は連結された陶材焼付鋳造冠(金属のフレームにセラミックを焼き付けた被せ物)と思われます。

治療前CT画像①|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

治療前CT画像②|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」 治療前CT画像③|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」 治療前CT画像④|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

治療前CT画像です。左:歯列平行断(矢状断)、中:右上6の歯列直交断(冠状断)、右:水平断。

右上6には近心頬側根根尖部のみならず分岐部にも穿孔由来のものと思われる低密度領域を認めます。

治療前CT画像⑤|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」 治療前CT画像⑥|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

 

治療前右上7CT画像がこちらになります。左:近心頬側根、右:遠心頬側(正中から遠い頬側)根および口蓋根

右上7は近心頬側根管の彎曲部(曲がっている部分)から先の処置不良、近心頬側第二根管(MB2:通常3つの根管を持つとされる上顎第一大臼歯において存在する、歯科医師でも見逃しやすい4つ目の根管のこと)の未処置が疑われます。

【インプラント】

CT上で右上6はかなり骨欠損が進んでいることが確認出来ます。限られた骨量ではありますが骨質に問題はなく、海外が主な拠点の患者様にとって治療完了までに有する時間が最短である必要があるため、抜歯即時インプラント埋入で進める事になりました。

治療詳細

初回治療時右上6画像|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

初回治療時の画像です。

右上6の頬側に8mm近い歯周ポケットが存在しています。

右上7冠除去時画像|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

右上7の冠除去時の画像です。

歯周ポケットは正常範囲内に改善されています。

 

初回治療

浸潤麻酔下で冠の除去後隔壁を作製し、ラバーダム防湿(治療する歯のみ露出させるゴムシート)を行い築造体の除去を行いました。

築造隊除去時画像|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

図:築造体除去時、根管充填材の黒変を認めます。

2~5回目の治療

根管充填材除去後、MB2を含めた4根管全てを根管形成し、近心頬側根管とMB2の間にはイスマス(2つ以上の根管をつなぐ狭く薄い組織の通路)が認められたため、超音波チップにて形成しました。根管洗浄後、バイオセラミックシーラー(水酸化カルシウム系の根管充填材料)を使用した根管充填を行い、担当医へ支台築造および補綴処置を依頼しました。

根管充填時X線画像|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

根管充填時デンタルエックス線写真がこちらになります。

根尖まで適切に根管充填が行われているのがわかります。

【インプラント】

静脈内鎮静法下で抜歯をするのと同時に、インプラント埋入を行いました。限られた骨量ではありますが既定のトルク35N(ねじなどを回す際に加える力の強さ)を獲得することが出来ました。埋入後には人工骨を入れ、それを保持するため非吸収性メンブレン(膜)を入れました。オープンメンブレンとして露出させることによってテンションをかけすぎた縫合を避けることができます。

インプラント埋入の写真|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

 

治療後の様子

術後に症状などはなく、半年経過後のCT画像にて治癒を認めます。

歯肉の状態も安定しており、補綴治療に移行しました。

治療後半年のデンタルX線写真|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

治療後半年のデンタルX線写真になります。根尖部の不透過性の亢進を認めます。

術前術後のCT画像の比較をすると、根尖部の治癒傾向と上顎洞粘膜の正常化が確認できます。

術後CT画像①|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」 術後CT画像②|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

【インプラント】

術後1ヵ月でメンブレンを撤去しました。メンブレン下には幼若な組織が新生しています。(画像上段)

3ヶ月後にはインプラント上部の型取りを行い、最終補綴を35Nで締結しました。2年ほど経過を追っていますが、今のところ問題は出ておりません。

術後CT画像③|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

術後インプラント画像①|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

術後インプラント画像②|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

術後インプラント画像③|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

術後インプラント画像④|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

術後インプラント画像⑤|【症例】他院にて3本抜歯適応と診断された歯を2本根管治療によって保存し、た症例と1本インプラント治療をした症例|渋谷の歯医者「渋谷マロン歯科Tokyo」

主な副作用・リスク

【根管治療】

  • ・予後を完全に保証するものではありません。特に歯根破折が術中、術後に明らかになることがあり、その時点で抜歯をおすすめすることがあります。
  • ・自由診療での治療となります。
  • ・術後に一時的に疼痛や腫脹を生じる事があります。
  • ・術前に強い疼痛を生じていたり、長期に炎症を惹起したりしていた場合、炎症が消退しても術後の違和感や疼痛が残存することがあり、日常生活に支障がある場合、ペインクリニックへの紹介などを検討する事があります。
  • ・症例によっては非外科的根管治療のみでは解決出来ず、外科的根管治療を併せて行う事があります。
  • ・治療経過の確認が必要なことから。治療期間が長くなりやすくなっております。

 

【インプラント】

  • ・インプラントが定着しなかった場合は再手術となります。
  • ・その際の費用はかかりません。
  • ・抜歯即時インプラント埋入の場合は術後、手術をした部位では強く咬まないようにして下さい。
  • ・沢山うがいをすると出血が止まらない可能性があります。
  • ・自由診療での治療となります。
  • ・静脈内鎮静法は禁飲食の食事制限があります。

専門家による治療で歯の保存を最大限可能にし、インプラント治療も高い技術力で提供することができます

 

根管治療を苦手とする歯科医師は多く、専門医の人数も不足しているのが我が国の現状です。その中でも、大臼歯(奥歯)の根管治療は失敗している症例が日常的に見られます。

特に、今回のように曲がっている根管を有している歯の再根管治療は、決して容易ではありません。

ですが、術前の高精度のCT画像による治療計画、ラバーダム防湿(治療する歯のみ露出させるゴムシート)による無菌的処置や、歯科用手術用顕微鏡を専門の歯科医師が駆使する事で、一般には保存困難とされる歯でも、速やかかつ確実な治癒を見込める可能性があります。

歯の神経などの歯内組織は保存することが理想的ではあります。しかし、ひとたび根管治療が必要になった場合、上記の様な環境の整った歯科医院で治療を行うことで、ほとんどの歯が保存可能になり、今回のような再根管治療を必要とすることが少なくなります。

再根管治療では初回治療に比較して、歯を削る量も多くなることや、感染の範囲が拡大しがちなことから、どうしても成功率や歯の予知性が低下します。

今回の症例においては、残念ながら右上の6は残存歯質が薄く感染も併存していることから、再根管治療のリスクが高く、患者様と相談の上抜歯となりました。ただ、年齢もお若いことから可能な限り歯の保存を試み、右上7については無事治癒傾向を認めています。

 

出来る限り患者様ご自身の歯を機能的に保存することが、他の歯を守る事にも繋がります。

このように一本でも多く天然の歯を残す事で、心身の健康維持に少しでも寄与できますと幸いです。

残念ながら保存不可となった歯でも、インプラント治療を行うことによって、しっかりと噛めるようになります。渋谷マロン歯科Tokyoでは、なるべく自分の歯は残せるように、連携レポートという形で根管治療の専門医が患者様の歯の状態を分析して作製しています。是非、他院で抜歯と言われた歯でもお気軽にご相談下さい。

 

こちらもご参照ください。

渋谷マロン歯科Tokyo|根管治療(顕微鏡歯科)

渋谷マロン歯科Tokyo|インプラント治療

【症例】右奥歯の専門的な根管治療とジルコニアクラウンでの被せもの治療

監修者情報

佐藤 年彦

院長

佐藤 年彦

2013年 神奈川歯科大学歯学部 卒業
2021年 渋谷マロン歯科Tokyo 開業

歯医者が苦手な方も、ハイレベルな歯科診療を受けたい方も、あらゆる方に満足いただける歯科診療をお届けします。お口のことでお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

村野 浩気

根管治療科・保存科

村野 浩気

神奈川歯科大学 卒業
東京医科歯科大学歯髄生物学分野 医員

多くの歯科医院がある中で、私たちの医院を選択してくださったことに対して、最高の歯科医療を提供することでお返ししたいです。気持ちよく食事や会話ができ、大きく笑える口元を一緒に維持していきましょう!