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2023.03.15
【症例】右奥歯の専門的な根管治療とジルコニアクラウンでの被せもの治療
治療概要
治療内容 | 専門根管治療&被せもの(補綴治療) |
---|---|
期間 | 6ヶ月 |
治療回数 | 9回 |
費用 | 302,500円(税込) 専門医根管治療(大臼歯):143,000円(税込) ファイバーコア(直接法):27,500円(税込) フルジルコニア:132,000円(税込) |
治療前の状態・主訴
患者様は20代女性で「右下の奥歯が一週間前から痛む」とのことで来院されました。数日前の夜から痛みが強くなり今は常に痛いとの事で、波はあるが一時間に2、3回痛むようでした。右下の奥歯は他院にて4年ほど前に銀歯のインレーを入れておられました。
歯肉には「フィステル」と呼ばれるできものも確認しました。
※フィステルとは、「瘻孔(ろうこう)」とも呼ばれます。歯の根の先の膿が小さな穴から排出されるもので、にきびのようなできものです。
治療するにあたりパントモ撮影およびデンタル撮影を行った上で、今回の治療の説明をしました。
こちらのCT画像で舌側に骨吸収(骨が溶けること)が認められ歯根が見えてしまっているのがわかります。
今回は神経治療を行うことになったのですが、当初患者様は神経治療を行う事には消極的でした。そこで当院渋谷マロン歯科Tokyoの連携レポートを用いて説明を行ったところ、治療を希望していただけました。
以下今回の症例について専門レポートから抜粋いたします。
“CT上で右下7の近遠心根尖から分岐部にかけて低密度領域を認めます。遠心根と近心根の低密度領域は共に下顎管と近接しており、進行した際や治療に伴い症状が発現する恐れがあります。
近心根はイスムスなどの解剖学的清掃困難部位の存在が疑われ、近心ほどではないですが遠心根も扁平な形状でフィンなどが存在する可能性が高いです。病変は歯根周囲にも拡大していますが、根尖を中心としており根尖性歯周炎の可能性が高いと思われます。深いポケットや破折線が存在しなければ治癒の予知性は比較的高いものとなります。
補綴のスペースがやや不足気味と思われますが、歯牙の保存を試みるならまずは非外科的に根管治療を行うべきかと思います。経過によっては意図的再植術などを併用することもあり得ますが非外科で治癒することが多いです。”
下記がレポートです。
専門家の分析レポートのため専門用語が多く難しいと感じられるかと思いますが、結論としては「神経治療をまだしていない歯であるため、まだ侵襲ガ大きい外科治療は行わず、非外科的治療である根管治療などを行うべきである」ということです。
治療詳細
メタルインレーを外すと中は虫歯になっていました。この虫歯が原因で根尖性歯周炎となった可能性は否定できませんでした。またメタルインレーに穴が開いてしまっていたため、過剰な力が歯に加わり、咬合性外傷で神経が死んでしまった可能性もありました。
1.根管治療
根管治療とは、歯の中に一度定着してしまった細菌の除去を行う事が出来る唯一の方法です。歯の内部に定着した細菌は根管を経由して骨や血流などに侵入し、身体全身への感染を引き起こします。重篤な場合は骨髄炎や他の頭頸部組織の炎症を引き起こす可能性があり、とても危険です。
今回の患者様の場合、一番奥の歯であること、またお口を大きく開けられないことから治療は簡単ではありませんでした。開口量が少ないとどうしても器具の入る方向などが制限されてしまいます。慎重に治療を進めないと余分に歯を削ったり誤った方向に削られたりしてしまいます。
渋谷マロン歯科Tokyoではは根管治療のためだけの専用器具が豊富に揃えているので、患者様にオーダーメードの治療を提供することがきます。今回のような難しい症例に加え、様々な治療に対応することが可能です。
2.根管充填
根管充填とは歯の内部の細菌の除去を徹底して行った後に行う手技で、根管治療の質の評価の指標の一つとなります。治療の目的は「消毒された根管内の空隙を埋める事で細菌の再繁殖するスペースを埋めること」「除去しきれなかった細菌もその過程で埋葬すること」とされています。
今回の症例は開口量の問題もあり簡単ではありませんでしたが、充填まで良好な治療を完了できた思われます。
3.土台
根管充填で使用した「シーラー」と呼ばれる材料が土台を建てたい場所に残っていると接着阻害となるため、歯質が綺麗に見える状態にしてから接着剤を塗っていきます。
また、土台の材料であるレジンは何回にも分けて光重合(※)をしています。何度も重ねて充填することで、光で固めるときにおこる収縮を少なくすることができます。
※光重合:光を照射することで硬化させること
4.補綴
緊密な根管充填と土台作りをした後に行われる最終段階が補綴処置です。いわゆる「被せもの」を装着することを指します。これは歯を削って適合が良い被せものを入れることが目的で、適合が悪いものが入ってしまうと数年後に歯茎が腫れたり、根尖病変が再発したりする原因となり最悪やり直しとなってしまいます。
「形成(歯を削って形を整えること)」は必要最低限の切削量で、かつマージンと言われる歯と被せものの接合部となる場所を鮮明にしていく作業です。歯茎と同じくらいか少し歯茎より中に接合部を持っていくことが多いのですが、奥歯の場合は審美領域ではないため、あまり深く削ったりする必要はないと考えております。
こちらが形成後の写真です。
今回のケースは開口量がさほど大きくないので形成は簡単ではありませんでしたが、必要最低限の切削で良好な仕上がりにできたと思います。
仮歯で様子をみた後に咬合痛や歯茎の出血等が無いことを確認し、最終補綴の型取りへ移行しました。型を取る際も出血や歯茎の腫れがあると綺麗な被せものが入りません。削って型をとるのに余計に回数をかける必要はありませんが、ベストの状態で型取りを行うことが望ましいです。
こちらが仮歯の写真です。
こちらが出来上がったジルコニアクラウンの写真です。
早くて最低回数で終わる治療は精度が良ければ良いのですが、型取りにベストな状態にするのに時間を要する場合、早いことが正解ではないこともあります。
治療後の様子
術後は痛みもなく良好でした。歯茎の状態も悪くなく、患者様も非常に満足されていました。また、他の歯が今回のような大きな治療が必要にならないよう、他の歯の治療も早めに予防性の高い材料で治していきたいとおっしゃっていただきました。
治療後はフィステルも消失しています。
治療後1週間の画像です。周囲の歯茎に馴染んできているのがわかります。
主な副作用・リスク
・被せものは一度で入らずに修正が必要になる場合があります
・自由診療での治療となります
・慣れるまでは噛むと違和感があることがあります
・覆われている面積が広いので噛み合わせを慣らす期間が必要な場合もあります
・根管治療した歯が確実に完治すると保証されるものではありません
お口の中にお悩みがある方はぜひ当院までご相談ください
歯科での自由診療を選択する意味は多岐にわたりますが、、今回のように治療を通して歯の大切さや、治療に対して知識を身につけて正しい見解を持っていただけるのが私としては一番嬉しいことです。一つの治療を通してその方の歯に対する価値観が変わっていくことができれば、その方の今後の生活の質も確実に高める事ができると考えております。
渋谷マロン歯科Tokyoでは、保険診療と自由診療のいずれにせよ、最高の治療を目指して日々診療に取り組んでいます。お口の中のお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談だけでも結構ですので渋谷マロン歯科Tokyoまでいらして下さい。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。
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