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2025.05.09
【症例】深い虫歯(大きい虫歯)に対する神経を残した治療

治療概要
治療内容 | 間接覆随法を用いた虫歯治療 |
---|---|
期間 | 1週間 |
治療回数 | 2回 |
費用 | 費用:88,000 円(税込み) 間接覆髄:11,000 円(税込み) ジルコニアインレー:77,000 円(税込み) |
治療前の状態・主訴
今回の患者様は、10代女性で、食事時の疼痛を主訴に来院されました。
レントゲンでも大きな虫歯を認め、治療の必要性を説明しました。また、歯髄腔内に不透過像も認められたため、当院の歯内療法科と連携し、レポート作製を行うことにしました。
後日、保護者同伴で説明を聞いていただくようにご本人にお伝えし、当日を終えました。
レポート作成後、保護者の方に現状を説明しました。また、保護者の方も歯科医療従事者であったこともあり、スムーズに理解していただきました。詳細は以下の通りです。
連携レポートより
- ・根尖に低密度領域は認めず、現状で強い症状がなければ、可逆性歯髄炎の状態が疑われる。
- ・4根管性と思われるが、イスマスなどの状況次第で5根管ともいえる可能性がある。
- ・タウロドント様にやや根管が低位で分岐しており、解剖学的構造からも根管治療を行う際には難易度が高まる。
- ・歯髄腔内には右上6、7ともに歯髄結石(歯髄腔内の不透過像)が見られ、歯髄への刺激の既往が窺える。
- ・虫歯処置のみならず、ナイトガードなどによる咬合力のコントロールなども必要の可能性がある。
- ・現状であれば露髄の可能性が低いことから早期に介入することで抜髄(神経をとること)などの処置を予防できる可能性がある。
- ・露髄がない場合は間接覆髄処置、露髄した場合は断髄(VPT)や根管治療となる。
- ・今後の経過観察時に根管治療の介入が改めて必要になる可能性があるが、若年者であることから可能な限り歯髄保存に努めるべきである。
1, デジタルX線写真
2, 歯列平行断(左:頬側 右:口蓋側)
3, 歯列直交断(左:近心頬側根 右:遠心頬側根、口蓋根)
4, 水平断(左:歯冠側 中央:根中央 右:根尖側)
治療詳細
虫歯を削っていくと、かなり大きいことが分かりました。
う蝕検知液を用いて慎重に切削していき、切削圧もなるべくかけないように回転数を考慮して治療を行いました。露髄はせずに虫歯のみを取り切ることができましたが、穴が大きいことには変わらないため、間接覆髄を行いました。これは神経に近い部分に薬剤を塗布し、今後の歯髄炎を予防する処置です。
その後、形態を修正し、印象採得(型取り)に移行しました。当院ではインレーやクラウン(詰め物や被せもの)は院内技工士によって、その場でデザインされます。通常、スキャナーで型取りを行ったデータをラボ(歯を作る工場)へ送信するため、上手く撮影が出来ていない場合は、それに気が付くのが遅れてしまいます。しかし、当院ではその場でスキャンデータを確認できるため、再撮影となっても、すぐにその場で行えます。そのため、来院していただく回数を限りなく少なくできます。また、デザインも当院で全て行うため、治療をした医師とデザインする者が同じ環境で相談できるのも魅力の一つです。
より精度を高いものも作製していくためには、医師と技工士が密に連携していなければ実現できません。院内技工士を抱えるクリニックはとても少ないですが、ぜひ、患者様には精度にもこだわって治療を受けていただきたいと考えています。
1.治療開始前
2.虫歯除去中
3.虫歯の部分を確認(ピンク色に染まっている部分が虫歯)
4.虫歯の入り口である部分が円形状に確認出来る
5.虫歯が大きかったため、間接覆髄法にてMTA(歯科治療に使われる人体と親和性の高い安全な医療用セメント)を裏層してその上からさらに積層して形態を整える
6.型取り直前の状態
実際の虫歯の入り口
CT上で確認出来た虫歯の入り口
型取り前
スキャンデータの確認
ジルコニア装着後
治療後の様子
現在は痛みもなく、定期メンテナンスで通っていただいています。
今後症状が出た場合は、根管治療に踏み切る可能性もあるため慎重に経過を追っていきます。
また、歯にかかる圧力のコントロールも行っていく必要があるため、ナイトガードを作製して使用してもらっています。患者様はまだ若く、今後70年近くはこの歯を保存していきたいです。そのためには定期的なメンテナンスも非常に大切です。
治療を受けたら終了という認識ではなく、もう二度と同じような治療をしないようにしていくことが重要です。
「治療が終われば卒業だ」と嬉しく思う患者様はいらっしゃらないでしょうか?「また痛くなったらクリニックに連絡すれば良い」と思っている方はいらっしゃらないでしょうか?
そのように考えていると、また治療を受けにいずれクリニックに戻ってくることになってしまいます。治療には時間と費用がかかっています。また治療が必要になる歯を増やすことに良いことなんかは一つもありません。そのため、今回の症例のような一つの治療を通じ、「虫歯治療は大変で費用もかかる」という認識を患者様に強く持っていただきたいです。もちろん、メンテナンスにも多少費用はかかります。しかし、メンテナンスは1回で終わり、28本の歯を対象にしているため、コスト、タイムパフォーマンスは高いと思います。それを定期的に繰り返していけば十分であると考えています。患者様が想像している以上に、歯科の定期メンテナンスに通われている方は多いです。問題が大きくなってから習慣化するより、早い段階で習慣化することをおすすめします。メンテナンスの習慣まで獲得出来ることが、治療をする最大の意味であると考えています。
主な副作用・リスク
- 自費診療となります。
- 治療後に痛みが出た場合は根管治療となる可能性があります。
- 治療後には一時的な痛みが伴うことがあります。
渋谷マロン歯科Tokyoでは一つ一つの治療の質にこだわっています
今回の症例のように、虫歯治療一つでも質は大きく関わってきます。特に、まず大切なことは、初めの審査診断の質です。ここを間違えると、どれだけ丁寧な治療を行っても、台無しになってしまう可能性すらあります。その次に、治療の質も大切です。実際の治療が理想的なものとほど遠い場合は、治療は上手くいきません。特に、自由診療(先進医療)は時間がかかります。今回の虫歯治療も、全て顕微鏡下で行っています。拡大視野で明るさも十分な環境で行うことで、完全に虫歯を除去することができます。 早く治療を終わらせる事もできますが、短い時間で暗闇の中治療をすると確認しきれない部分が生じてしまいます。見えると言うことは、その分時間がかかってしまうことになるのは仕方ない部分かなと思っています。部屋の床掃除も終わった後に顕微鏡で見ると、より細かい汚れが見えることを想像していただけると分かりやすいかと思います。部屋の場合は、汚れが残っていても家が細菌感染するわけではありませんが、虫歯治療の場合は、取り残してしまうと、再治療になってしまいます。つまり、虫歯を取り切る事は難しいことであり、治療が終わったと思っても、取り残しがあった場合には完治していないということです。その虫歯が次第に、神経に近くなり、最終的に根管治療が必要になってしまいます。取り残していても、痛みがある訳ではないため、患者様が自分で判断することは難しいです。ぜひ、基本的な虫歯治療からしっかりとした治療を受けていただきたいです。
最終的には、医師の質、クリニックの質になってくるため、当院では引き続き、質にもこだわった治療を提供していきたいと考えています。最速の治療が最良の治療ではないことが多いですが、日々の忙しい生活の中で、多くの患者様は最速の治療を求める傾向があります。しかし、以前に治療した歯がまた痛んだり、調子が悪かったりした経験はないでしょうか?その場で治療を終えても、何度でもクリニックに帰ってくる恐怖と言うものも、今一度再確認していただきたいです。
渋谷マロン歯科Tokyoでは、保険診療でも自由診療でも、最高の治療を目指して日々診療に取り組んでいます。また、審美治療や根管治療、矯正歯科、麻酔科、口腔外科など各分野の専門家が在籍しているため、確かな診断が可能です。歯でお悩みの方は、ご相談だけでも大丈夫なのでぜひ一度いらして下さい。
渋谷マロン歯科 歯科医師 佐藤年彦
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