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2025.04.26
【症例】下顎左側第一大臼歯に対する「抜歯即時埋入インプラント」の治療

治療概要
治療内容 | インプラント治療 |
---|---|
期間 | 4か月 |
治療回数 | 6回 |
費用 | 660,000円(税込み) |
治療前の状態・主訴
40代の女性の患者様が、左下の奥歯が欠けたとのことで来院されました。診察の結果、虫歯が分岐部にまで進行していたため、抜歯をご提案しました。抜歯後の治療法としては、ブリッジ・入れ歯・インプラントのいずれかを選択していただく必要がありましたが、今回はインプラント治療を選択されました。
インプラントの術式については、下顎管まで十分な距離を確保できることから、抜歯即時埋入で行うことにしました。
治療詳細
抜歯終了時
インプラント形成後
メンブレンでカバーして縫合
今回は歯の根の先(根尖)に病巣があるわけではないので掻爬(汚れや感染した組織を掻き出すこと)は行いませんでした。分岐部には十分な骨の厚みが確認できたため、やや舌側よりを刺入点としてドリリング(歯や骨を削ること)を行いました。
中央から頬側にかけての分岐部は狭くなっているため、通法通りその部位に形成を行うと、4壁に囲まれたインプラント形成が行えず、最悪の場合は抜歯窩と形成窩が交通してしまう可能性があります。そのような場合には、さらに長いインプラントの使用が必要となるため、今回はそのようなリスクを避けるために、現在の刺入点を選択しました。
術後3週間 メンブレン
術後3週間 メンブレン除去後
メンブレン表
メンブレン裏
手術後一週間で抜糸を行い、術後3~4週間でメンブレン(骨の再生を促すための人工の膜)の除去を行います。抜歯即時埋入の場合は、形成したインプラント窩のほかに、もともとの抜歯窩があるため、そこには人工骨を補填します。また、その人工骨がこぼれないようにメンブレンで覆います。縫合する際には、口腔前庭が浅くならないようにテンションはかけずに行います。また、オープンメンブレン法(メンブレンを露出させた状態で骨の再生を促す処置)で露出した状態で処置を終了します。
術後はインプラント部位を咬まないように気をつけていただき、衛生的な状態を保っていただくためにブラッシング指導も行います。そうすることによってメンブレンの露出した部分のみが汚れ、裏側は清潔な状態を維持することが可能となります。
治療後の様子
手術後3ヶ月で二次手術を行い、ISQ値(インプラントの安定性を数値化した指標)も測定した結果、問題が認められなかったため、スキャナーによるインプラント印象を行い、最終補綴としました。インプラント治療は基本的に時間を要する治療でございますが、今回のように3~4か月で機能回復を行うことによって、隣在歯の移動やそれを防止するための入れ歯の使用を避けることが可能となります。
ご予算の関係で他の歯の治療がなかなか進まない状況ではありますが、このような場合には、患者様にとって最もメリットがある場所から優先的に治療を行わざるを得ません。
治療計画には2種類あります。1つは理想的な治療計画、そしてもう1つは現実的な治療計画です。本来であればこの2つが一致することが望ましいのですが、臨床の現場では部分的に一致するというケースも多く見受けられます。その中で、患者様とともに最も良い方法を一緒に探していくことが大切だと考えています。
主な副作用・リスク
・下顎管を損傷すると麻痺や知覚鈍麻が起きることがあります。
・手術後には痛みや腫れが伴うことがあります。
・インプラントが定着しない場合は再手術となります。
・術後感染が確認された場合は撤去を行い再手術となります。
・自費診療になります。
やむを得ず抜歯が必要となった場合には、できる限り早期に機能回復をすることが大切です
インプラント治療は、現在では確立された治療法であり、手術が可能な骨が存在する場合には、非常に満足度の高い治療法となっています。ブリッジのように、左右の隣り合った歯を削る必要がない点も大きな利点です。
しかし、抜歯を行ってから骨の回復を待ってインプラントを埋入する「抜歯待時埋入」では、骨の回復に約1年の期間を要します。さらに、抜歯後には歯槽骨の吸収が起こり、顎堤の保存、すなわち元のご自身の骨が痩せて治ってしまうことがございます。骨量が不足している場合には、それを防ぐために「リッジプリザベーション」という骨を補う手術のみを行う場合もあります。
とはいえ、たとえ骨が減らないように対処したとしても、1年後に手術、そして1年4か月後にようやく歯が手に入るとなると、その間に入れ歯を使用しない限り、周囲の歯が動いてしまい、咬み合わせが乱れる可能性があります。
そのため、骨量が十分にある場合には「抜歯即時埋入」を行い、歯を抜いたその日にインプラント手術を行うようにしています。当院におけるインプラント手術のうち、95%以上はこの「抜歯即時埋入」の術式で行っています。もちろん、本来であれば抜歯にならないように、日頃からの口腔ケアを大切にしていただくことが望ましいのですが、やむを得ず抜歯が必要となった場合には、できる限り早期に機能回復を行うことが大切です。
また、根尖病変により「抜歯が必要」と診断された方につきましては、ぜひ一度ご相談にお越しください。当院には根管治療の専門医が在籍しており、抜歯の必要性について、正確な診断を行うことが可能です。根尖病変がある場合でも、歯を抜かずに治すことができる症例は数多く存在します。さらに、再植や移植なども当院は多く行っていますので、まずは抜歯を行う前に相談していただきたいと思います。専門医がレポート形式で診断内容を説明し、患者様にとって最適な治療法を複数ご提案させていただきます。
一般の歯科医師による抜歯の判定基準はバラバラであり、また根管治療の技術レベルも大きな差があります。その後のインプラント治療に関しても同様に、治療レベルにはばらつきが見られます。専門的な治療技術を持たない歯科医師の場合、当然抜歯の判断基準が緩やかになりがちで、残せる歯であっても早期に抜歯と診断されることがあります。また、インプラント治療においても同じことが言えます。専門的な技術が求められる難症例には対応が難しいため、骨の状態が良好な比較的簡単な症例に限定され、結果として抜歯の判断が早まる傾向があります。
当院ではインプラント・根管治療・歯周病・矯正・小児歯科・口腔外科・麻酔の全科目の専門家が在籍しています。特に抜歯かどうかの判断基準は厳しく、残せる歯は残すように努めています。患者様は専門的な知識がある訳ではないので病院選びは難しく、歯科医院も多いので悩まれると思います。しかし、どんな治療を受けられるかは病院のレベルや歯科医師のレベルに依存するため、しっかりと選んでいただきたいです。自由診療(先進医療)は決して安価ではなく、また治療に時間を要する場合もありますが、歯を残す治療はインプラント治療よりも安価なことは間違いありません。
ご自身の歯が失ってしまってからでは、自分の歯に投資することすらできなくなってしまうので、1本でも多くの歯を残すためにどうかしっかりと考えていただきたいと思っています。
渋谷マロン歯科Tokyoでは、保険診療でも自由診療でも、最高の治療を目指して日々診療に取り組んでいます。また、審美治療や根管治療、矯正歯科、麻酔科、口腔外科など各分野の専門家が在籍しているため、確かな診断が可能です。歯でお悩みの方は、ご相談だけでも大丈夫なのでぜひ一度いらして下さい。
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インプラント治療|渋谷マロン歯科Tokyo
【症例】静脈内鎮静法を用いた無痛治療&短期集中治療(抜歯即時埋入インプラント)
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