患者様は「前歯の歯並びがガタガタして気になる」とのことで来院されました。歯を観察したところ、患者様のおっしゃる通り、上下の前歯の歯並びがガタガタで噛み合わせが悪い状態でした。

歯並びがガタガタであることを、叢生と言います。叢生とは、歯が重なり合ったり互い違いになっている状態を指します。治すためには矯正治療を行う必要があります。

また前歯の噛み合わせは少し浅く、上下の前歯の真ん中は１.0ミリ程ずれていました。専門的な用語で表すと、AngleI級、OJ1.0ミリ、OB1.0ミリ、上下正中は1.0ミリ偏位でした。それぞれの意味は以下の通りです。

Angle分類：歯並びの状態を分類する方法で、歯並びの正常性や異常性を評価するために使用されます。Angle I級は正常な状態を、Angle II級は上顎が下顎よりも前に出ている状態、AngleIII級は下顎が上顎よりも前に出ている状態を指します。

OJ（Overjet）：前歯の突き出し具合を示す指標です。上の前歯が下の前歯より前方に突き出している場合に正の値が、下の前歯が上の前歯より前方に突き出している場合は負の値になります。OJは前歯の対合関係の評価に重要な指標であり、正常値は2～3ミリ程度です。

OB（Overbite）：前歯の上下関係を示す指標です。上の前歯が下顎前歯に対して上方に重なっている場合に正の値が、下の前歯が上顎前歯に対して上方に重なっている場合に負の値になります。OBも前歯の対合関係の評価に重要な指標であり、正常値は2～5ミリ程度です。

OJは前歯の突き出し具合を、OBは前歯の上下関係を表す略語であり、どちらも正常値を超えた異常がある場合、歯科矯正治療が必要になることがあります。

上下正中は、上下の前歯の中心が正確に一致しているかどうかを示します。1.0ミリ偏位とは、上下の前歯の中心軸線が最大で1.0ミリずれていることを示します。

前歯のデコボコが大きいことから、上下左右の前から数えて4番目の歯を抜歯し、マルチブラケット装置と呼ばれるワイヤー矯正を用いて治療を行いました。

当院では矯正治療の基本となるワイヤー矯正を軸に考えています。ワイヤー矯正では金属製の金具(ブラケット)が目立つことを気にされる方も多いと思いますが、渋谷マロン歯科Tokyoでは白いセラミックのブラケットも採用しています。またワイヤー矯正は歴史のある治療方法で、幅広い症例に対応できることが特徴です。

ワイヤー矯正のメリット・デメリットは以下の通りです。

上下の前歯のデコボコ、真ん中のズレ、前歯及び奥歯の噛み合わせは改善されました。専門用語で表すと、上下叢生、正中偏位、OJ、OBは改善し、臼歯関係はI級を維持できている状態です。

装置除去後は、リテーナーと呼ばれるマウスピースを使用し、歯列の固定を行っています。

・歯が移動することにより歯根が短くなることがあります
・神経に異常をきたすことがあります
・歯茎の形が変わる場合があります